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「誰も傷つけない表現」論争について思うこと②ー宇崎と千歌ちゃんは誰に「燃やされた」のか?「ツイフェミ」について今更考える

前回の記事はこちら

「誰も傷つけない表現」論争について思うこと①ー『ルックバック』への見解 - 肋骨鎖骨のブログ

前回の記事では、「『誰も傷つけない表現』があるかどうか」という問いは批判を無効化するために使われるので注意が必要という話をしました。

そして今回はプリキュアや戦隊・ライダーについて語るはずだったのですが、予定を変更してオタクが敵視しがちな「ツイフェミ」なる存在について考えてみます。

 

前回のおさらい!

「誰かを傷つけるかどうか」は、作品そのものの問題というよりは読者がどのような文脈で読むかに依存します。なので「誰も傷つけない作品」は存在しません。読者の読み方次第だからです。

しかし、「誰も傷つけない作品」がないからといってなんでもありとしてはなんの生産性もありません。極論を言ってレスバに勝った感を出すのは最近流行っていますが、それは何も考えずに一番楽な「批判」をしているだけです。ある程度は自分で考えて自分なりの意見を持ちましょう。

ジャンプ+によると『ルックバック』が修正に至ったのは「作中の描写が偏見や差別の助長につながること」を懸念したからです。そうです、「この作品や描写は誰かを傷つけるかどうか」は不毛ですが、「この作品や描写は偏見や差別の助長につながるか」は問えます。

 

宇崎と千歌ちゃんは「燃やされた」?

こう聞くと宇崎ちゃんの献血騒動な沼津の千歌ちゃんのスカート騒動を思い浮かべる人もいるでしょう。この2件で「ツイフェミ」なる個人・集団に嫌悪感を持つようになったオタクは多いでしょう。お前はどう考えているんだ、どっちの味方なんだと思っているでしょうから一言で答えると「そんなに間違ったことは言っていない」です。上から目線の言い回しになってしまったのはごめんなさい。

無論すべてのツイートやツイッターアカウントに賛同しているわけではありませんが、私はある程度の「配慮」は必要だと思っている派なので、俗に言う「ツイフェミ」に近い方かと思います。

よく「ツイフェミ」に「燃やされた」と言う人がいますが、「ツイフェミ」とは誰で、「燃やす/燃やされる」とはどういうことなのでしょうか。

 

「ツイフェミ」は実在するのか?

まずは「ツイフェミ」とは誰のことなのかを考えてみます。

ここで少し考えてほしいのは、あなたが「ツイフェミ」と想定している個人や集団は本当にいるのかということです。大抵の場合あなたが「ツイフェミ」を目撃したのはまとめサイトなどの切り抜きではないでしょうか。

そういったところは叩きたい・叩きやすいものだけを意図的に切り抜いていたり、まとめ方やタイトルで曲解しており、現実に即していません。pv やフォロワーを増やしたいがための煽動に引っかかっているだけです。

そもそもツイッターアカウントは一個人の一側面でしかありません。1人で複数のアカウントを持つ人も多いですよね。私は一つの垢でこういったオタク批判をしつつエロ絵をいいねし、日常ツイをするので中々フォロワーが増えませんし、減るばかりです。そういったちょっと矛盾しているくらいが人間なのですが、ツイッターランドでは思ってたのと違う側面を見せるとすぐフォローが外されます。

そんな一個人の一側面でしかないツイッターアカウントのうちの一ツイートの実在性はなかなか疑問です。そんな一ツイートの切り抜きを寄せ集めて作り上げられた「ツイフェミ」は、素材は現実のものを使っていますが実在はしておらず、叩くために/叩きやすいように作り上げられた存在にすぎません。そしてそれはサイトのpvやフォロワーを増やすための工夫で、まんまと釣られているわけです。いわば「切り取りの(悪意のある)切り取り」です。

実際に「フォロワーを増やすためにツイフェミ叩くか〜」「ツイフェミ叩けばフォロワー増えるぜ」と言っている垢を複数見たことがあります。ツイッターはフォロワーを増やすためや、いいねを貰うためにフォロワー受けの良さそうなことを言うようになると終わりです。それはただのポジション取りですから(とはいえ政治批判は伸びるのに自分のYouTubeの紹介ツイには誰もいいねを押さない大物垢を見ると悲しい気分にはなります)。

フォロワー稼ぎのための架空の「ツイフェミ叩き」にまんまと乗せられていないか、一度考えてみましょう。わかった上でやってるならオーケーです。ただし、場所は考えましょう。

もちろんこれも誰かやどこかの層の肩を持っているとかそういうことではないです。ただ自分はオタクとしてオタクに言いたいことがあるだけです。

 

「燃やされる」とはどういうことか

表現やキャラクターが「燃やされる」とはどういうことか。先程私は宇崎や千歌ちゃん問題に関して、ある程度の「配慮」が必要と言いましたが、この「配慮しろ」と「燃やされる」は同じことなのでしょうか。

「燃やされる」とはおそらくある表現が「クレーム」によって撤去や修正を余儀なくされることを指すと思われます。前回扱った『ルックバック』もこれにあたり、ゆえに激怒している人が多いということです。

前回私は作者と読者が双方向に影響し合うことは良いことだと述べました。さらに批判をすべて「クレーム」と一括りにする姿勢に苦言を呈しました。その上で作者が自由に創作できる環境を守ることが一番大事だと言いましたね。

『ルックバック』と今回の違うところは、作者がはっきりしないところです。コラボの主催者でしょうか?原作者でしょうか?コラボ元でしょうか?それとも描かれてあるキャラクターでしょうか?

よくわかりませんね。多分わかる人がいたら教えてくれるとありがたいですが、今回はぼやけていて作者の権威が薄いところが重要だと思うのです。

なので私の結論はこうです。次からうまくやってね。うまくやるとは、ちゃんと「配慮」してねということです。

私は悪くない人に迷惑をかけたくないので抗議はしませんが、する人がいてもいいと考えています。ただし、悪くない人に迷惑があまりかからないやり方で、意味のあることをしましょう。ですがこれは方法の話で別問題ですし、抗議することは否定しません。

 

「配慮」とは何か

ここまで読んでくれた読者なら気づいていると思いますが、私は文脈というものを非常に大事にしています。ゆえに一側面だけを切り取られることを毛嫌いしています。

しかし、アニメや漫画がコラボで公に出ることは、原作のキャラクター性や作品の雰囲気などの文脈はブッた斬られます。献血のポスターに描かれているのは「センパイを好意からからかう宇崎ちゃん」ではなく「ほおを赤らめている胸が大きいアニメキャラ」です。千歌ちゃんも「スカートが短く、貼り付いているように見えるアニメキャラ」となります。

オタクは感覚が麻痺していることに気づきましょう。冷静に考えてると胸がすごくデカイことが笑いのネタになってることはちょっとおかしいです。というか一般の感覚とはだいぶズレています。私は『ひぐらしのなく頃に」が好きですが、最近は〇〇ちゃん(一応ネタバレ防止)がどう死ぬのかをワクワクしながら毎週見ています。この楽しみ方は「ひぐらし」を見ていない人からするとかなり異常です。今これを聞いて衝撃を受けた方もいるのではないでしょうか。他にも漫画を読んでいると非オタクの親に「この子たちは裸にボディペインティングしてるの?」と言われたことがあります。

つまり、文脈から離れても大丈夫な描き方を採用しろというのが私の見解です。これはオタクを否定しているのではなく、新たなチャンスだと考えています。

 

「配慮」の好例

好例はFGOです。FGOはソシャゲですが、その登場キャラクターはかなり露出度の高い格好をしています。献血のポスターで紐パンのちびっ子や何故か下乳だけ丸出しな服を着ている子がそのまま採用されたら流石にビックリするでしょう。

FGOは5周年の時に都道府県ごとにキャラクターを割り当てて新規イラストを新聞の一面にしました。

Fate/Grand Order 5周年記念広告 under the same sky

この時はいつもは露出の多い子も服を着込みました。これでいつもより露出が減って何事だ!と怒っている人は見たことがありません。

もちろんFGOは超大型コンテンツですのでここまでやれとは言えませんが、文脈を離れて公に出ることはオタクにとってもメリットがあるということです。

 

結論

コラボ時の「配慮」とは、元の文脈から切り離されても元を知らない人にも受け入れられる描き方をしようということです。ここで極論を持ち出されると困りますが、批判されたものよりも良いものを考えることはできるでしょう。実際に変更するかはコスト面が大きそうですが、自分は「次回があったらもっと良いの作ってね」です。

「燃やす」とは変更や撤廃が起きるかどうかが問題になりますが、自分はそこにあまり価値を置いてません。前回も言いましたが勝ち負けを争ってるわけではないですし、コストなど違った変数が入り込んでくるからです。

ですが私は「配慮」されたものが好きであり、高く評価します。こういう文脈があるから〜って反論はその意味では微妙です。

結論を言います。表現が将来的に「配慮」された形になることは良いことである。しかし批判は悪くない人に迷惑が掛かりにくい方法を取るべきだ(=「燃やす」は方法の問題)、です。

 

おわりに

ちなみに今の千歌ちゃんはこんな感じだそうです。私は、前のときより好きです。

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